僭越ながら自薦する。型どおりに本書を説明すると、
・56名の著者に、怒りをマネジメントする方法について様々に書いてもらってWebで有料公開した
・そしたらちょっと信じられないくらい売れた
・これはもうすぐに紙の本にすべきではないかという話になった
・Web版と同じ内容で出すのもアレだから、他の著者にも追加で書き下ろしていただいた
・新たに加わった15名の著者がまたビッグネームばかり(びっくりした)
・案の定、アマゾンに書影が出た瞬間にジャンル1位を獲得
・発売前から売れるとわかっているナチュラルボーンベストセラー
と、こんなかんじである。セールスポイントが山のようにある。近年稀に見る、営業がラクな本と言えるだろう。
しかしここであえて、自薦文の後半で、個人的な思い出話をしようと思う。
2019年の4月末、私は1通のメールに激怒した。脳脊髄液は沸騰し、視野は狭窄し、知性は爆発四散して脳内には陰惨な呪詛が吹き荒れていた。マネジメントなんかくそくらえ。自己の客観視などできるものか。正直、自らが得意とするマネジメント方法1つだけでは、私の怒りは収まりきらなかった。
ところが私は幸運にも本書のWeb版を一通り読み終えていた(共著者なのだから当たり前である)。そのため「怒り」という敵に四方八方異なる角度から対峙する、多くの著者たちの顔と声を思い出すことができた。怒りというのはRPGゲームに現れる巨大なドラゴンのようだ。ラスボス的でもある。1つ2つの「奥義」で乗りこなすのは至難の業だ。でも、著者それぞれが異なる切り口で怒りを構造的に解体するさまは、なんというか、「集合知」のありがたみを感じるというか、冒険の旅の途中に出会った仲間がそれぞれの必殺技でドラゴンを攻撃してくれているような圧倒的安心感があった。私の怒りはいつしか霧散したし、ぶっちゃけ私はこの本を、著者としてではなく、読者としておすすめしたい。
いい本です。マジで。