2018年中に警察に届け出られた行方不明者のうち、認知症が原因とみられる者は延べ1万6927人で、統計を取り始めた2012年以降で最多となった。警察庁が20日に発表した。
認知症またはその疑いによって捜索願が出された人(認知症行方不明者)の数は、12年の9607人から一貫して増え続けている。人口10万人当たりでは、12年の7.5人から18年の13.4人まで増加した。行方不明者全体に占める割合も年々大きくなっており、18年には19.2%に達した。
18年中の認知症行方不明者数を年齢層別にみると、80歳以上が8857人と最も多く、70代は6577人、60代は1353人、50代は131人だった。
18年中に所在が確認されたのは、17年以前の届出分も含めて1万6227人。届出受理から所在確認までの期間は、「受理当日」が1万1905人、「2~7日」が4205人で、99.4%は1週間以内に見つかっていた。508人は事故などにより行方不明中の死亡が確認された。
厚生労働省では、自治体が保護した身元不明の認知症高齢者等の情報を公開するサイトを特設している。また、政府の18日の関係閣僚会議で決定された「認知症施策推進大綱」には、認知症行方不明者の早期発見・保護に向け、捜索ネットワークづくりやICTを活用した捜索システムの普及を図る方針が明記された。