集中治療の対象は生活者たる人間であり,複雑かつ多様である。患者の入院前の生活状況を知り,機能的回復を促進することが重要である
看護師が主体的に,目の前の患者に「今」どのようなニーズがあるのかをアセスメントすることが求められる
非日常的な療養環境の中に,日常性を少しでも取り戻すための非薬理学的介入が大切である
患者の終末期と判断される状況に際し,医療者はガイドラインに則した丁寧な病態説明が重要である
終末期に家族が何らかの意思決定をする場合には,医療者は家族の苦悩を理解し,ともに考える姿勢を示すことが,死別後の家族の否定的感情を軽減する
医療者と家族間のより良いコミュニケーションはpost-intensive care syndrome-family(PICS-F)の予防や軽減につながる可能性がある
集中治療の現場に従事する看護師の重要な役割は,24時間連続した時間の中で,ABCD EFGHバンドル(特集3「PICSの対策と今後の展望」を参照)をはじめとした集中治療後症候群(post-intensive care syndrome:PICS)対策を継続して実践することである。図1に示すように,集中治療の現場に従事する看護師の行動のうち,約50%が患者ケアであることが報告されている1)。これは,看護師が,患者のそばに長時間いることができる職種であることを示している。集中治療を受ける多くの患者は,重症な病態のみならず,痛みや口渇,不安や恐怖などの様々な苦痛に苛まれ,心身ともに不安定な状態にある。適切な鎮痛のもと,看護師が患者のそばにいることは,患者が「今」何に苦痛を感じているのかを理解し,それに対処することを可能にし,より安全な浅鎮静を実現するのである2)。