東京都医師会の鳥居明理事は9日の記者会見で、2020年夏の東京五輪・パラリンピックに向けて、全国規模で感染症対策を講じる必要があると訴えた。
鳥居氏は、東京五輪・パラリンピックの訪日外国人旅行者数は約4000万人、1日当たり来場者数は92万人と予想されていることや、世界保健機関(WHO)が「一定期間、限定された地域において同一目的で集合した多人数の集団」を“マスギャザリング”と定義していることを紹介し、「東京五輪・パラリンピックはまさにマスギャザリング。マスギャザリングの環境下で注意が必要な疾患は『麻疹』『風疹』『侵襲性髄膜炎菌感染症』だ」と述べ、感染症の蔓延を懸念。その上で、全国各地の自治体が選手団や関係者を受け入れるホストタウンとなっていることから、「全国規模で感染症対策を講じる必要がある」と訴えた。
さらに鳥居氏は、麻疹・風疹・侵襲性髄膜炎菌感染症はワクチンで防ぐことができる疾患(Vaccine Preventable Diseases:VPD)であることを説明し、「VPDはワクチンで防ぐのが感染防御の原則」と強調。麻疹・風疹については、抗体検査の結果が陰性あるいは低値の人、侵襲性髄膜炎菌感染症は感染リスクが高い人にワクチン接種を行う必要性を指摘した。