川崎病は小児にみられる血管炎であり,川崎富作博士の最初の報告から50年以上を経過した現在も原因は不明である
治療の進歩によって頻度は減ったが,冠動脈病変を後遺症として残すと,心疾患として長期の管理が必要になる
近年は,早期診断と早期治療に努める傾向が強く,主要症状が少ない例でも不全型と診断する場合が増え,診断の手引きを改訂することになった
診断は,川崎富作博士が提唱した特徴ある症状群として行われ,それらの症状や所見は,川崎病の「診断の手引き」としてこれまで5回の改訂を経てまとめられ,医療関係者の間に十分に普及している。診断の手引きの内容は主に6つの主要症状と,臓器別に参考条項が列挙された形式であり,2002年に現在の改訂5版(表1)1)2)が発行された際には,それまで発熱日数は5日以上と定義されていたが,早期治療によって発熱日数が5日未満でも主要症状の1つとして扱うことや,備考の1項目として,主要症状を満たさない「容疑例」が10%ほどあり,冠動脈瘤を伴うことがあることを明記した。