漁師や潜水夫など職業性潜水をする人や水上・水中スポーツ愛好者の外耳道に骨性の狭窄が生じることは以前から知られていた。特にサーファーに好発するため1977年,Seftelにより「サーファーズイヤー」と命名された。本態は外耳道の外骨腫であり,新生物ではない。外耳道外骨腫は程度の差はあるが,通常,両側性の広基性隆起病変である。
外耳道炎に伴う耳痛,外耳道の閉塞に伴う耳閉感,水が抜けにくい感じ,聴力障害を訴える。骨病変が軽度であっても,外耳道炎に伴う滲出液,耳垢による耳閉感,聴力障害が出現する。
サーファーの間では本疾患の情報は普及しており,患者自身がサーフィンを行っていることを申告する場合が多い。本人からの申告がない場合,職業や趣味などで冷たい水の刺激を受ける機会がないか確認する。冷水刺激を受ける機会がなく,外耳道の閉塞性病変を認める場合,他の疾患を考えるべきである。
視診(耳鏡所見)が重要である。必ず両側の外耳道,鼓膜所見を観察する。外耳道炎が落ちついた状態であれば,触診により骨の固さを感じることができる。純音聴力検査では,狭窄が高度となった場合に伝音難聴を示すことが多い。側頭骨CTより病変の評価を行う(図)。骨部外耳道に限局した骨肥厚を主体とした病変の確認ができる。画像再構築により外耳道の三次元的な形態を評価する。
外耳道狭窄をきたす慢性外耳道炎などの炎症性疾患,交通外傷などによる外傷性疾患,腫瘍性疾患との鑑別が必要となる。腫瘍性疾患としては骨腫,軟骨腫,色素性母斑,線維性骨異形成症,扁平上皮癌,腺様囊胞癌などがある。
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