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プライマリケアで取り組む子どもの貧困支援(和田 浩 健和会病院長)【この人に聞きたい】

No.4973 (2019年08月17日発行) P.8

和田 浩 (健和会病院長)

登録日: 2019-08-15

最終更新日: 2019-08-14

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日常診療で楽しく支えることのできる親子もたくさんいる
自己肯定感を高める接し方をすることや
何かあったら相談できる場所として存在していることが大切

わだ ひろし:1983年新潟大卒。87年より健和会病院小児科、2018年より現職。
日本外来小児科学会「子どもの貧困問題検討会」代表世話人、貧困と子ども健康研究会実行委員長。
共著「子どもの貧困ハンドブック」(かもがわ出版)、「シリーズ・子どもの貧困5 支える・つながる─地域・自治体・国の役割と社会保障」(明石書店)

子どもの貧困が注目されたのは2008年。10年以上経過したが、問題解決への道のりは遠い。日本外来小児科学会「子どもの貧困問題検討会」の代表世話人を務める和田浩氏に話を聞いた。

定期通院に来ない患者の背景に貧困が存在

─子どもの貧困に着目するようになったきっかけは。

2009年に岩波新書の「子どもの貧困─日本の不公平を考える」(阿部彩著)を読んだところ、7人に1人の子どもが貧困だと書いてありました。ところが、私の患者さんの中でそれと思い浮かぶ人が1人もいなかったのです。貧困を抱えている人はいないのではなく、私に見えていないだけなのだ。どうしたらそれは見えるようになるだろうかと考えて、2010年の日本外来小児科学会でワークショップ「子どもの貧困を考える」を開きました。

そこで参加者から、「定期通院に来ない患者の背景に貧困が潜んでいる」と指摘があり、それを聞いた時に「そう言われればあの一家はそうかも」と思い当たる患者さんがいました。喘息で定期通院が必要なのに、中断を繰り返し、発作を起こすと受診する―。思い切って理由を尋ねてみると、経済的に厳しいという事情を明かしてくれました。ほかの患者さんに対しても少し突っ込んで話を聞くようになると、貧困を抱えている子どもがたくさんいる実態がみえてきました。

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