厚生労働省は8月27日、2020年度税制改正要望の概要を公表した。医師偏在対策の一環で、医師少数区域での勤務経験を持つ医師の認定制度が導入されることに伴い、認定取得後の医師が勤務または管理する医療機関を対象に、税制上の優遇措置の新設を求めている。
昨年成立した改正医療法・医師法では、医師偏在の解消に向け、20年度以降に医師少数区域等の医療機関で6カ月以上勤務した医師を厚労相が認定する制度が創設された。厚労省は、地域医療支援病院のうち医師派遣・環境整備機能を持つ病院の管理者を、認定を取得した医師に限る方針を示している。
厚労省が要望に盛り込んだ優遇措置は、医師少数区域等に所在する医療機関への経済的インセンティブとして、不動産取得税と固定資産税を減免するもの。対象医療機関は、厚労相の認定を取得した医師が管理する診療所または一定数勤務する病院。地域医療の提供に必要な機器・用地・設備を取得したり、既存の施設の増改築などを行った場合、減免を受けられる。経済的インセンティブについては、改正医療法の附帯決議で検討が求められていた。
このほか、地域医療構想の実現を推進する観点から、地域の医療機関間での医療機能ごとの再編統合で資産等の取得が行われた場合に、不動産取得税・固定資産税を減免する措置も要望した。調整会議において合意された具体的方針に基づく再編統合によって取得した用地・建物・設備が対象となる。