第3回日本在宅救急医学会学術集会が9月7日、都内で開催された。テーマは「在宅救急診療ガイドライン作成に向けて」。大会長の吉田雅博氏は3つの最重要課題を設定した。▶在宅や救急で急変を早くみつけるにはどうするか、▶急変した時どうするか、不要な搬送を減らせるか、▶治療後退院した後に注意することはである。多職種がそれぞれの立場から講演し、筆者もシンポジストとして登壇した。本学会をレポートしたい。
救急医療の世界では標準化が進んでいる。様々な指標が作られてデータが集約・蓄積されつつある。急変対応について親樹会恵泉クリニックの太田祥一氏は、①JATEC(外傷初期診療ガイドライン)、JM ECC(内科救急・ICLS講習会)など救急標準教育で用いられている第一印象からのアプローチ、②第一発見者になることが多い看護師の視点や気づき(特に“いつもと何か違う”)やSBAR(S:Situation〈状況〉、B:Background〈背景〉、A:Assessment〈評価〉、R:Recommendation〈提案〉)、JTAS(救急患者緊急度判定支援システム)、③RRS(院内迅速対応システム)を起動するための急変の前兆を事前に察知するNEWS(早期警告スコア)などを紹介した。
一方で、在宅医療は救急に関するデータが乏しい。しかし数多くの在宅医療を手掛けている悠翔会の佐々木淳氏が示したデータは衝撃的であった。