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溶連菌感染後の尿検査の必要性について

No.4996 (2020年01月25日発行) P.53

大谷清孝 (きりんキッズアレルギークリニック院長)

西﨑直人 (順天堂大学医学部附属浦安病院小児科准教授)

登録日: 2020-01-24

最終更新日: 2020-01-21

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  • 溶連菌感染後急性糸球体腎炎の合併は2%未満とされています。感染から1~4週間後に尿検査を行っている施設が多く,既報では92.3%の小児科医が尿検査をしているとされていますが,全例で施行する必要はないとの報告もあります。溶連菌感染後の尿検査の必要性の有無について,最近の考え方と今後の展望について,順天堂大学浦安病院・西﨑直人先生にお願いします。

    【質問者】

    大谷清孝 きりんキッズアレルギークリニック院長


    【回答】

    【A群溶連菌感染後のスクリーニング目的の尿検査の効果にエビデンスは乏しく,有症状者にのみ施行するのが適切】

    A群β溶血性連鎖球菌(A群溶連菌)による上気道感染後1~2週間,皮膚感染後3~6週間に生じる腎炎を溶連菌感染後急性糸球体腎炎(poststreptococcal acute glomerulonephritis:PSAGN)と呼びます。

    本症は血尿(5以上/HPF)もしくは蛋白尿,低補体血症,溶連菌先行感染の証明〔迅速検査陽性,培養検査陽性,抗ストレプトリジンO(anti-streptolysin O:ASO)高値など〕かつ他の腎疾患(ループス腎炎・膜性増殖性糸球体腎炎)の否定,を満たすことで診断できます1)。初発症状としては,眼瞼浮腫および肉眼的血尿が多いと報告されており2),ほかに高血圧,乏尿で気付かれるケースもあります。これら症状のうち,家庭でも認識可能な「まぶたの腫れ」や「コーラや紅茶のように色の濃い尿」が出現する可能性を患者・保護者へ十分説明しておくことが必要です。

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