【わが国での適応とその位置づけ】
体外衝撃波療法(ESWT)は衝撃波を患部に照射し,局所の疼痛を軽減する治療法である。泌尿器科領域において,尿路結石の低侵襲ESWTが有名であるが,整形外科領域におけるESWTはその焦点深度やエネルギーを局所療法向けに最適化したものである。1990年代から欧州を中心にアスリートの筋,腱付着部の障害に対する低侵襲治療として使用されはじめ,その歴史は比較的新しい。
作用機序としては,衝撃波が病変部の自由神経終末を変性させる,血管新生やⅠ型コラーゲンの合成を亢進させて組織修復を促す,等が報告されている。現在,わが国で保険適用となっているのは難治性足底腱膜炎であるが,国際衝撃波治療学会(ISMST)では,アキレス腱炎,アキレス腱付着部炎,膝蓋腱炎,上腕骨外側上顆炎,石灰沈着性腱板炎,腱板炎,偽関節,疲労骨折,早期離断性骨軟骨炎,早期無腐生骨壊死,が適応疾患として認められている。
近年,これらの治療成績,基礎研究の論文は増加している。散見するsystematic review1)2)では,その有用性は示されているものの,そのエビデンスレベルは様々である。今後,エビデンスや治療経験の蓄積が期待される。
【文献】
1) Mani-Babu S, et al:Am J Sports Med. 2015;43 (3):752-61.
2) Korakakis V, et al:Br J Sports Med. 2018;52 (6):387-407.
【解説】
塩田幹夫 東京医科歯科大学スポーツ医歯学診療センター