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検査前確率が中等度以上でなければ肺血栓塞栓症検索のための画像検査は行わない[Choosing Wiselyで日常診療を見直す(8)]

No.5009 (2020年04月25日発行) P.40

隈丸加奈子 (順天堂大学医学部放射線診断学講座准教授)

登録日: 2020-04-27

最終更新日: 2020-04-22

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    Don't image for suspected pulmonary embolism(PE)without moderate or high pre-test probability of PE.
    (American College of Radiology:April 4, 2012)

    リスト:日本語訳

    肺血栓塞栓症の検査前確率が中等度以上でない患者に対しては,肺血栓塞栓症検索のための画像検査を行わないこと。
    (米国放射線科専門医会:2012年4月4日)

    急性肺血栓塞栓症診断のための画像検査

    急性肺血栓塞栓症(pulmonary embolism:PE)診断のための画像検査の第一選択は,禁忌(高度腎障害,ヨードアレルギーなど)がない限りは,造影CT検査である。肺換気・血流シンチグラフィも有用であるが,CT検査よりもアクセシビリティが低く,直ちに施行できる可能性が低い・塞栓子自体を描出できない・肺動脈以外の疾患の診断が困難であるという欠点により,特にわが国では造影CT検査が好まれる。

    装置やソフトウェアの進歩により,最近では比較的低被ばくでの撮影が可能になったものの,PE診断のためのCT検査では5~10mSv程度の被ばくを伴う。また,ヨード造影剤に対する副作用のリスクもあり,無制限に行ってよい検査ではない。したがって,PEが疑わしい患者には確実に造影CTを施行して早期診断・治療をめざしつつも,疑わしくない患者には施行しないというchoosing wiselyが求められる検査である。しかしながらPEの症状は胸痛,呼吸困難など非特異的なものが多く,診断に苦慮することも多いため,PE検索のための造影CT検査は,施行閾値が下がりやすい検査のひとつとして知られている。

    American College of Radiology以外に,American College of Emergency PhysiciansやAmerican College of Chest Physicians and American Thoracic Societyもchoosing wiselyのリストの中にPEの検査前確率が低い患者への画像検査を挙げている。

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