感染症を専門とする慶大医学部客員教授の菅谷憲夫氏(WHO重症インフルエンザガイドライン委員)は6月18日、「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の院内感染防止対策─全入院患者にPCR検査が必要」と題した論文を日本医事新報に緊急寄稿。秋・冬に予測される第2波に備えるため、全入院患者を対象に、原則PCR検査による入院時のSARS-CoV-2のチェックを必須とすべきと訴えた。
論文の中で菅谷氏は、SARS-CoV-2による国内の死亡例の4分の1が院内感染による死亡であり、看護職を中心に医療従事者の感染例も多いことを問題視。
「これだけ院内感染例が報告されれば、日本国民がSARS-CoV-2感染を恐れて病院受診を控えるのは当然」と述べ、院内感染の問題が、患者の受診抑制、「医療機関の莫大な赤字」の問題を引き起こしているとした。
その上で菅谷氏は、新型コロナ感染症患者には無症状者も高頻度に存在することから「有効な院内感染防止策は、PCR検査を充実させること」だと主張。
「すべての入院患者は、入院時にSARS-CoV-2のチェックを必須とすべきである。原則はRT-PCR検査である」として、大学病院や大規模病院に限らず、中小規模の病院、精神科病院、リハビリ病院も含め、全入院患者に対し原則PCR検査による入院時のチェックを必須とすることを提案している。
菅谷氏はさらに「医療従事者全員の定期的なPCR検査によるスクリーニング」も必要だとし、これらを実現するために、経済的支援、検査機関の拡充など、政府による「全面的なバックアップ」を求めている。
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[緊急寄稿]新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の院内感染防止対策─全入院患者にPCR検査が必要(菅谷憲夫)