新型コロナウイルス感染症(COVID-19。以下コロナ)対策を柱とする2020年度第二次補正予算(一般会計で31兆9114億円)が6月12日成立しました。厚生労働省分は4兆9733億円で、うち2兆7179億円(54.7%)が「ウイルスとの長期戦を戦い抜くための医療・福祉の提供体制の確保」に充てられています。本稿では、これの評価を行います。併せて、直接コロナ患者の診療は行っていないが、患者減少等のため経営困難に陥っている一般の医療機関への経営支援の必要性と方策についても検討します。
その前に、第二次補正予算自体の問題点を指摘します。最大の問題点は、10兆円(予算の31.3%)もの「予備費」が計上されていることです。これに、20年度当初予算の5000億円と第一次補正予算中の1兆5000億円を加えると、総額12兆円となります。ちなみに過去最大の予備費は、リーマンショック直後の2009年度当初予算の1兆円でした。このような巨額の予備費は、国の財政運営は「国会の議決に基づく」と定める憲法83条の「財政民主主義」を形骸化するものと言えます。自民党の石破茂元幹事長も「使途に国会審議を経る必要のない予備費10兆円は財政民主主義の観点から議論の余地がある」と指摘しています(「日本経済新聞」6月3日朝刊)。
補正予算には、他に中小零細企業の倒産防止や雇用維持の柱である「持続化給付金事業」を受託した「サービスデザイン推進協議会」が事務委託費の97%分を広告大手電通に再委託していた問題や、「Go Toキャンペーン」の事務委託費の上限が総事業費の18.4%の3095億円に設定されている問題があります。しかも第二次補正予算は10兆円の予備費を除けば、ほぼ半分が経済産業省の事業であり、経産省主導である安倍内閣の性格が如実に表れています。