新型コロナウイルス感染症の流行で乳酸菌などプロバイオティクスの免疫活性化作用への関心が高まる中、「プラズマ乳酸菌」の研究者であるキリンホールディングスの藤原大介氏が8月20日、都内で講演し、プラズマ乳酸菌によるウイルス感染症予防の可能性について研究成果を報告した。
プラズマ乳酸菌(Lactococcus lactis strain Plasma)は、「免疫細胞の司令塔」といわれるプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を直接活性化する世界初の乳酸菌。一般的な乳酸菌が一部の免疫細胞のみを活性化するのに対し、免疫細胞全体を活性化するのが特徴で、これまでにヒト試験でインフルエンザ・風邪様症状の改善や発症率の低下の可能性などが示唆されている。
日本感染症学会学術講演会のシンポジウム「マイクロバイオームとシン・プロバイオティクス―メカニズムから臨床応用を考える」で行った講演で藤原氏は、プラズマ乳酸菌はインフルエンザに限らず、その作用機序からウイルス全般に対し広く防御効果を示す可能性があるとし、研究成果の1つとして、マウスを用いて「標準食」群と「標準食+プラズマ乳酸菌1mg」群でデング熱感染後のウイルス量を比較した実験結果を紹介。
プラズマ乳酸菌投与群で感染2日後の脾臓中ウイルス量の大幅な低下が認められたとし、「デングウイルスの増殖を抑制する効果を示した可能性がある」と述べた。
プラズマ乳酸菌を使用したキリングループの製品については、「健康な人の免疫機能維持」に関する機能性表示の届出が8月7日、消費者庁に受理されている。
「免疫」に関する機能の届出が受理されるのは業界初で、具体的には「健康な人の免疫機能の維持をサポート」などと表示される予定。
キリンホールディングスは、プラズマ乳酸菌を使用した機能性表示食品などを通じて、医療従事者をはじめ免疫機能維持が求められる職業に携わる人々のリスク低下に貢献したいとしている。
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