厚生労働省は10月9日の社会保障審議会介護給付費分科会に、2021年度の介護報酬改定に向けた基本的な視点の案を提示した。地域の特性を踏まえた「地域包括ケアシステム」の構築・推進や自立支援・重度化防止の取り組みのほか、感染症や災害への対応力強化などを盛り込んだ。今後の分科会での議論を踏まえて必要な修正を加え、最終的には12月にまとめる21年度改定の審議報告に内容を反映させる。
基本的な視点案は、①感染症や災害への対応力強化、②地域包括ケアシステムの推進、③自立支援・重度化防止の取り組みの推進、④介護人材の確保・介護現場の革新、⑤制度の安定性・持続可能性の確保―の5項目を21年度介護報酬改定の柱に据えた。
②では、高齢人口の増加と総人口の減少が同時進行する40年に向けて、中重度の要介護者や認知症の高齢者は増え続け、介護ニーズは増大・多様化するが、その状況は地域によって異なると指摘。国民一人ひとりが住み慣れた地域で安心して暮らしていけるようにするには、「地域包括ケアシステム」を各地域の特性に応じて構築し、推進していく必要があるとし、▶在宅サービスの機能と連携の強化、▶医療と介護の連携の推進、▶看取りへの対応の充実、▶認知症への対応力向上のための取り組みの推進―などを具体策として挙げた。
③では、介護関連データの収集・活用とPDCAサイクルの推進といった科学的介護を実現させるための取り組みや、サービスの質の評価を、高齢者の自立支援・重度化防止につなげる。このほか、文書負担の軽減やロボット・ICTの活用による介護現場の革新、評価の適正化・重度化、報酬体系の簡素化などにも取り組む方針を打ち出した。