株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

特集:心臓ペースメーカーの特徴と使いわけ

No.5036 (2020年10月31日発行) P.18

橋本健司 (慶應義塾大学循環器内科)

髙月誠司 (慶應義塾大学循環器内科准教授)

登録日: 2020-10-30

最終更新日: 2020-10-28

  • このエントリーをはてなブックマークに追加


橋本健司
2014年慶應義塾大学医学部卒業。同年4月から足利赤十字病院初期臨床研修医,16年足利赤十字病院内科を経て、18年4月より現職

髙月誠司
現慶應義塾大学医学部循環器内科准教授。1990年慶應義塾大学医学部卒業

1 ペースメーカーとは
ペースメーカー植え込みは,わが国では1974年に保険償還された徐脈性不整脈に対する唯一の有効な治療法である。わが国のペースメーカー植え込み件数は年間約6万件であり,患者の生命予後およびQOL改善に大きく貢献している。
一般的には,症状を有する徐脈性不整脈がペースメーカー植え込みの適応となる。徐脈性不整脈を診断した際は,不整脈による症状(失神,めまい,息切れ,易疲労感など)を認めるかどうかを確認することが非常に重要である。
ペースメーカーは本体(ジェネレーター)と導線(リード)で構成されており,基本的な機能は心筋の刺激(ペース)と自己心拍の感知(センス)である。
緊急時や経過とともに回復が見込まれる場合は,一時的ペースメーカーの適応となる。

2 ペースメーカーの基本設定と一般的な機能
ペースメーカーの動作モードは,アルファベット3文字(例:VVI,DDDなど)で表記される。この動作モード設定は,自己心拍の有無など不整脈の種類により決定する。
AAI⇔DDDモードは,不要な心室ペーシングを防止するためのモードである。
レートレスポンス機能は,活動時に心拍数を調整することでQOL向上に寄与する。
モードスイッチ機能は,上室性不整脈時の急激な心室ペーシング上昇を防止する。
自動出力調整機能は,ペース出力を自動で調整し抑えることができる。電池消耗の防止や閾値上昇によるペース不全に対しても対応できるようになっている。

3 特殊なペースメーカー,アルゴリズム
近年,下記のような新たなペースメーカーやアルゴリズムの有効性が示され,実用化されている。
 ①リードの植え込みが不要な「リードレスペースメーカー」
 ②従来の右室ペーシングに比べてより生理的なペーシングである「ヒス束ペーシング」
 ③心房細動の負荷を減少させるための「心房抗頻拍ペーシング」

4 植え込み後のフォロー
日常生活では電磁干渉に注意が必要であり,適切な指導が必要である。
近年,ペースメーカーの遠隔モニタリングが可能になっており,ペースメーカーの不具合などについて早期に診断できる有用性が示されている。
条件付きMRI対応ペースメーカーが登場し,現在主流となってきている。しかし,MRI非対応の機種である場合や遺残リードのある場合など,MRIに対応できない場合もあるため注意が必要である。

プレミアム会員向けコンテンツです(期間限定で無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top