社会保障審議会介護給付費分科会は11月16日、通所系と訪問系サービスの介護報酬・基準について議論した。この中で厚生労働省は訪問看護ステーションの人員配置基準について、従業員に占める看護職員の割合を6割以上とする要件を設けることなどを提案した。
理学療法士などのリハビリ専門職と看護職の役割の違いを踏まえたサービス提供を促すことが目的。理学療法士などによる訪問が多い事業所は、そうでない事業所に比べて看取りの実績が少なく、軽度者の割合が高いとの調査結果もあり、分科会におけるこれまでの検討でも、看護職とそれ以外の職員の比率を人員基準に追加するべきではないかとの意見が出ていた。
対応策として厚労省は、一定の経過措置期間を設けた上で、従業員に占める看護職員の割合を6割以上とする要件を人員配置基準に設けることを提案。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が行う訪問看護費の単位数や提供回数の見直しも検討課題に挙げた。医療ニーズの高い利用者に対応できる体制を備えていることを評価する「看護体制強化加算」は、「特別管理加算を算定した割合30%以上」の要件を「20%以上」に緩和する案を提示。要件緩和に伴い、加算単位数は引き下げる方向で検討を進める。
また、診療報酬上の取り扱いに揃えて、主治医が必要と認める場合は、退院当日の訪問看護の算定を可能とすることも提案した。
一方、通所リハビリテーションは、現在の日単位の報酬体系とは別に、月単位の報酬体系を創設。両者を併存させ、希望する事業所が新たな報酬体系に移行する選択制を導入する案を示した。月単位報酬は、「強化型」、「加算型」、「通常型」(いずれも仮称)の3類型とし、▶リハビリテーションの機能、▶事業所の体制、▶活動・参加に対する取り組み、▶利用者の心身機能―などを包括的に評価するイメージを描いている。
「リハビリテーションマネジメント加算」の見直しにも言及した。算定率の高い「加算(I)」は廃止し、同加算の要件を基本サービス費の要件に統合。VISITへのデータ提出を評価する「加算(IV)」も、2021年度からのVISIT・CHASEの一体的運用を見据えて廃止するとした。存続させる「加算(II)、(III)」では、VISIT・CHASEへのデータ提出とフィードバックを受けるPDCAサイクルの推進を新たに評価することを提案。それに伴い、▶様式1~5(プロセス評価票や生活行為向上リハビリテーション実施計画書など)の提出は任意とする、▶リハビリテーション計画書の項目についてVISIT・CHASEへのデータ提出の必須項目を定める(入力項目の実質的な絞り込み)―などの見直しを行い、入力に伴う負担を軽減する案も示した。
「社会参加支援加算」については、算定要件である「社会参加への移行状況の計算式」と「リハビリテーションの利用の回転率」の見直しや、名称を「移行支援加算」に変更することなどを提案した。