株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS 21年度介護報酬改定をプラス改定にする環境にはない―財政審が建議

登録日: 2020-12-01

最終更新日: 2020-12-01

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会は1125日、2021年度の介護報酬改定について、新型コロナウイルス感染症が国民生活にもたらした影響や、高齢化に伴う国民負担の増加を踏まえれば、プラス改定をする環境にはないと提言した建議をまとめた。

財政審の「令和3年度(2021年度)予算の編成等に関する建議」は、介護サービス施設・事業者の経営状況について、19年度決算における収支差率は全サービスで2.4%と、中小企業(2.9%)と同程度の水準にあり、特別損失(事業所から本部への繰入)を除いた場合はさらに3.9%にまで上昇すると主張。こうした経営状況からはプラス改定をすべき事情は見出せないとし、「国民負担を抑制するよう改定率を決定すべき」と結論づけた。

また、新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、一時的な利用控えはあったものの、6月以降は状況が改善していることや、介護給付費の伸び率が全サービスで前年比34%のプラスになっていることから、「収支差に大きな影響を及ぼしていないのではないか」と分析。一時的な現象への対応に、介護報酬改定で国民に恒久的な負担増を求めるのは避けるべきだとしたが、一方で、新型コロナの影響に地域差やサービスによるばらつきがあることに配慮する必要性も指摘した。また、緊急包括交付金よりも迅速な対応が期待できる介護報酬で、メリハリをつけながら、流行収束までの臨時の措置を講じることはあり得るとの見方も示した。

医療関係では、後期高齢者の窓口負担について、可能な限り広い範囲で2割負担を導入し、遅くとも団塊の世代が後期高齢者入りする22年度初までに改革を実施するよう、施行時期を定めるべきだと記載。21年度の薬価改定については、全品改定を視野に、毎年薬価改定の初年度にふさわしい改定を実現するべきだと提言した。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top