厚生労働省は11月26日の社会保障審議会介護給付費分科会に、2018年度介護報酬改定で介護療養型医療施設などから介護医療院への転換支援策の一環として創設された「移行定着支援加算」の算定について、当初の予定通り21年3月末で終了することを提案した。一方で、介護療養型医療施設が、介護医療院などへの移行の検討状況を半年ごとに許可権者に報告する仕組みを導入し、早期の意思決定を促す案も示した。
分科会の議論では「移行定着支援加算」の算定期限延長を求める意見もあったが、厚労省は、介護医療院が全都道府県に開設されたことで、加算要件として求めた利用者や地域住民などへの周知も一定程度達成できたとして、当初の予定通り21年3月末での廃止を提案。今後は、基準や報酬、地域医療介護総合確保基金、予算事業などを組み合わせた支援策を進める方針を示した。
その具体策では、介護療養型医療施設を対象に、他の施設への移行などに関する検討状況を許可権者に半年ごとに報告する仕組みの新設を提案。報告通りの移行を義務づけはしないものの、期限までに報告がなかった場合は次の報告期限までの間に基本報酬を減額する、厳格な運用を想定している。看護配置30対1の医療療養病床について、20年度の診療報酬改定で入院料(療養病棟入院料2)の減額幅が拡大されたことを参考に、評価の見直しも検討する。
介護医療院に関しては、長期療養や生活施設としての機能充実を目指す。地域で看取りを行える介護施設が少ないことが、療養病床からの退院を困難にしている一因となっていることを考慮し、療養病床の長期入院患者を受入れた場合の評価として、「長期療養生活移行加算(仮称)」を新設する案を示した。有床診療所から介護医療院への移行では、入浴用リフトやリクライニングシャワーチェアなどがあり、身体の不自由な者が適切に入浴できる場合は、一般浴槽以外の浴槽の設置は求めない施設基準の緩和を提案した(新築、増築または全面的な改築工事を行うまでの経過措置とする予定)。