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■NEWS 医師の働き方改革関連検討会が論点整理などを了承―次期通常国会に法案を提出

No.5044 (2020年12月26日発行) P.70

登録日: 2020-12-18

最終更新日: 2020-12-18

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厚生労働省の「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」と、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」は1211日および14日に、それぞれ論点整理と中間とりまとめを大筋で了承した。いずれも社会保障審議会医療部会への報告を経て、2021年通常国会への法案提出に向けた作業に入る。

タスク・シフト/シェアの推進に関する検討会の論点整理は、医師の労働時間短縮のためにタスク・シフト/シェアを進めるべき業務を現行法下で可能な業務と、法改正が必要な業務に分けて整理。前者は即時に取り組み、後者は医師の時間外労働の上限規制が適用される24年度に向けて法改正や研修、カリキュラム改正を進めるとした。

現行法で実施可能な業務では、▶検査や薬物療法の説明と同意、入院時のオリエンテーション、▶各種書類の下書き・作成、▶診察前の予診、▶患者の誘導―などを職種に関係なく特に推進するものとして位置づけた。職種別業務で看護師については、特定行為(38行為21区分)に加え、事前に取り決めたプロトコールに沿って行う、▶予め特定された患者に対する医師が事前に指示した薬剤の投与や採血・検査、▶救急外来において、事前に医師が示した範囲内の患者に対する血液検査オーダー入力、採血、検査―などを挙げた。

■救急救命士による救急外来での救急救命処置が可能に

法改正を伴う業務では、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士を対象に、静脈の確保とそれに関連した業務などのタスク・シフト/シェアを推進する。その際、安全性を確保するため、養成課程における教育内容の追加や研修の義務づけを含む、教育・研修の実施を求めることも明記した。救急救命士は、現行法で認められている医療機関に搬送されるまでの間(病院前)における重度傷病者に対する救急救命処置の実施を、法改正によって救急外来でも実施できるようにする。

一方、働き方改革の推進に関する検討会の中間とりまとめでは、時間外労働(休日労働含む)の上限が1860時間となるBC水準対象医療機関の指定や、追加的健康確保措置の義務化と履行を確保するための枠組みなどが整理された。

■医師の兼業・副業で「連携B水準」を新設

時間外労働の上限は当初、原則である年960時間のA水準のほかに、1860時間までとするB水準、C水準(C-1およびC-2)が設けられる予定だったが、検討会の審議過程で、兼業・副業をする医師に対応するための「連携B水準」の新設が決まった。対象は、大学病院や地域医療支援病院などのうち、医師の派遣を通じて地域の医療提供体制を確保するために必要な役割を担う医療機関とし、これら医療機関に所属し、該当する業務に従事する医師は、派遣・副業先との通算で年間1860時間までの時間外労働が可能になる。

B水準、連携B水準、C-1C-2水準の対象医療機関となるには、都道府県の指定が必要になる。24年度からの制度開始に向けて、指定要件である「医師労働時間短縮計画」の策定義務化は遅くとも21年度から、今後設置される評価機能による労働時間の実績や労働時間短縮に向けた取り組みの第三者評価は遅くとも22年度から開始される予定だ。

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