日本の大学病院で初めて頭頸部腫瘍を専門に扱う診療科として、1999年に開設された東京医歯大頭頸部外科。岸本さんはその立ち上げから関わり、放射線科や形成外科、脳神経外科などの関連診療科、さらに歯学部が加わる緊密なチーム医療体制を作り上げた。
その大学を今年3月に退官。4月からは、亀田総合病院に新設された頭頸部外科に活躍の場を移している。
□
頭頸部腫瘍を手がけて約40年。症例数は約8000例に上る。その中でも特に力を注いできたのが、頭蓋底腫瘍だ。
頭蓋底は頭蓋・顔面の深部に位置し、構造が複雑で重要な神経・血管が走っているため診断・治療が難しく、かつてはほとんど手がつけられなかった。岸本さんは、解剖学的研究に裏付けられた安全な手術手技の開発、多くの診療科との連携によって、この新しいジャンルを開拓してきた。
残り546文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する