厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」は12月21日、今後の検討スケジュール案を了承した。初診からのオンライン診療の恒久化について2021年夏ごろに意見を取りまとめ、同年秋の指針改定を目指す。当初は年内に一定の方向性を固める予定だったが、新型コロナウイルス感染症が再拡大している状況を踏まえ、当面は現在の時限的・特例的措置を継続することを念頭に、恒久化については丁寧な議論を重ねることにした。
この日は初診からのオンライン診療の恒久化にあたって、安全性と信頼性を確保するためのルールについて、再度議論した。前回、厚労省はオンライン診療の対象となる初診の範囲について、①慢性疾患などで通院中の患者で新たに生じた症状の診療、②過去一定期間内(例えば12カ月以内)に受診歴がある患者で新たに生じた症状の診療、③過去に受診歴はないが、オンライン診療を行う医療機関で過去一定期間内(例えば12カ月以内)に予防接種や健診を受け、患者の状態が把握できている場合―などとする案を提示したが、②、③は慎重論も多かったため、内容を修正した。
具体的には、②の受診歴のある患者はオンライン初診の対象とするが、過去の受診歴として認める期間については引き続き検討。③の受診歴のない患者は、どのような情報を事前に把握していれば、安全性を担保してのオンライン初診が可能か、専門家の意見を聞いた上で検討することを提案した。
この日は新たに、▶オンライン初診に不適切な症例や状態の患者を事前に除外し、対面診療へ誘導する「事前トリアージ」の導入、▶患者への事前説明と同意、▶処方薬の制限、▶オンライン診療を行う医師の研修―などについての具体案も示した。
事前トリアージに関しては、初診からオンライン診療を行う場合は、オンライントリアージ、あるいは電話トリアージを受けることを必須とすることを提案。患者への事前説明では、実際に説明・確認し、同意を取得する内容として、▶オンライン診療において得られる医学的な情報は限られるため、対面診療が必要になる場合がある、▶患者が事前のトリアージを受けている、▶対面診療が必要と医師が判断した場合には対面診療を行う医療機関を確認する、▶医師が対面診療を指示した場合、患者は速やかに対面診療を受ける、▶以上を踏まえて、患者がオンライン診療の受診を希望する―の5項目を挙げた。
処方薬の制限では、オンライン初診では未承認・適応外医薬品の処方を原則、不可とする案を提示。医師の研修では現行の研修項目に、▶オンライン診療における問診のあり方、▶オンライン診療における理学的所見の取り方、▶対面診療との効果的な組み合わせ方―を追加する考えを示した。
このうち▶事前トリアージに用いる医学的判断基準、▶医学的リスクが高く、特段の配慮が必要な処方薬の取り扱い(処方薬の制限)、▶医師の研修の具体的な内容―に関しては、主要学会に専門的見地からの検討を依頼することも提案した。