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外視鏡を用いた脳神経外科手術の現状と今後の展望

No.5046 (2021年01月09日発行) P.51

金村米博 (大阪医療センター臨床研究センター 先進医療研究開発部部長/脳神経外科)

荒川芳輝  (京都大学大学院医学研究科脳神経外科講師)

登録日: 2021-01-07

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  • 現在,一般的な脳神経外科手術は,顕微鏡や内視鏡などの手術機器を用いて実施されています。これら手術機器の性能向上が,脳神経外科領域の治療成績の向上に大きく貢献してきました。近年,新たな手術器具として,高解像度の外視鏡システムが実用化され,一般脳神経外科診療にも導入されつつあります。
    この新しい手術器具である外視鏡システムの特徴と,それを用いた脳神経外科手術の現状,さらに今後の可能性に関して,京都大学・荒川芳輝先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    金村米博 大阪医療センター臨床研究センター 先進医療研究開発部部長/脳神経外科


    【回答】

     【脳神経外科手術をより安全で正確な治療として進化させることが期待される】

    脳神経外科手術は,微小で繊細な脳神経,脳血管の疾患を対象とします。その治療成績は,肉眼で判別が難しい術野を拡大視する技術により向上しています。脳神経外科手術のブレークスルーは,1960年代の手術用顕微鏡導入で,マイクロサージャリーとして発展しました。2000年代に導入された内視鏡は,2010年代に画像解像度と手術機器の進歩で新たな手術法として普及しています。

    外視鏡は,2010年代後半から高感度・高画質・3Dの機能を備えたビデオカメラを装備したシステムとして開発され,脳神経外科領域に導入されました。外視鏡は,顕微鏡と内視鏡の利点を有しています。顕微鏡は,対物レンズでとらえた術野像を接眼レンズから得る構造で,術野と術者の間に大きな顕微鏡装置が介在します。顕微鏡の可動範囲が制限されるために体位の工夫が必要で,接眼レンズは術者と助手の2人分(しかありません)。内視鏡は,内視鏡先端部から得る術野をモニターに映像化します。内視鏡手術では,小さな腔内へ内視鏡を挿入し,術野映像を観察しながら手術操作をします。一方,外視鏡で使用するビデオカメラの位置は自由度が高く,顕微鏡では得られない視軸を得ることができます。また,術野から離れてビデオカメラを設置した手術となるため,複数人が手術操作に参加できます。こうした特性から,顕微鏡手術が行われていた疾患では,外視鏡手術へと移行が進んでいます。

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