リウマチ熱は,A群β溶血性連鎖球菌(GAS)による咽頭炎の2~3週間後に続発する非化膿性炎症性疾患であり,GAS感染に対する炎症反応として位置づけられている。抗菌薬で発症予防可能な疾患である。炎症がみられる部位としては関節,心臓,皮膚,神経系が挙げられ,その結果,関節痛,発熱,胸痛や動悸,痙攣のような不随意運動,発疹,皮膚の小結節等の症状あるいは所見が重複し発症することがある。
わが国においては,近年では稀な疾患とされているが,一部地域での原因株流行により増加が危惧されている。
本疾患の診断は,症状と検査結果を組み合わせたJonesの改定診断基準(2015)に基づいて行われる(表1)。具体的には,GAS先行感染の証明としては,ASO単回320IU/mL以上または2週間隔の抗体価4倍以上の増加が目安である。関節炎は大関節(膝,足,手,肘など)に好発し,関節炎部位は1~2日で移動する。輪状紅斑は本症に特徴的であるが短時間で消退してしまい,
小舞踏病は,急性期に遅れて発症することが多い。
本症はあらゆる年齢でも罹患する可能性があるが,5~15歳で最もよくみられるため,小児でみられる熱性疾患との鑑別が重要である(表2)。本症と同様にGAS咽頭炎後に発症する連鎖球菌感染後反応性関節炎(poststreptococcal reactive arthritis:PSRA)は,関節炎が長期間持続するが,心炎が生じるリスクは低いと考えられている。また,若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis:JIA),白血病,連鎖球菌以外の細菌・ウイルス感染でも関節炎がみられるため,鑑別を要することがある。 無害性心雑音,先天性心疾患,後天性心疾患も本疾患と誤診されることがある。
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