【質問者】
肥田裕久 ひだクリニック院長
【New normal下でも安易な長期処方は慎み,患者背景に配慮した介入をすべき】
New normal下で多くの患者が受診控えをした,と報じられています。new normalとは社会に定着した新たな常識を指す言葉です。令和2年2月28日の厚生労働省事務連絡では,「新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から,慢性疾患等を有する定期受診患者等について,(中略)長期投与によって,なるべく受診間隔を空けるように努めることが原則(後略)」と通達されました。しかし,定期受診は不要不急なものではありません。
2015年の中央社会保険医療協議会総会において行われた議論では「服薬を忘れたり中断して病状が改善しなかった」「受診間隔が長い間に状態が悪化した」など,長期処方に伴う弊害が報告されています。
精神疾患においては,多くの患者で内服アドヒアランス不良が報告されています。入院した統合失調症患者の35%は定期的内服ができず,アドヒアランスを向上させる定期通院は病状改善,維持のために必須です。また,大うつ病の偽薬効果は受診頻度と相関するとの報告があり,頻繁な受診がうつ病の病状を改善させる鍵となります。
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