【質問者】
上村哲司 佐賀大学医学部附属病院形成外科教授
【術後の合併症を防ぎ,摂食・会話機能を維持するような再建を行うこと】
周術期合併症を起こさず,嚥下などの機能を最大限維持するような再建を行うための要点は以下の通りです。
まず,再建外科医ががんの進展範囲と全身状態の把握を行うことが重要だと思っています。そのためには術前に切除医と十分な打ち合わせを行う必要があります。画像を一緒に確認することで,手術による欠損範囲を把握します。実際に診察を行い,患者の体型などから皮弁の選択を行います。また,どの血管が移植床血管として使用できるか,もしその血管を使用できない場合には次の移植床血管をどこに求めるかなどの準備をします。
手術中は,術前計画に基づいた皮弁のデザインを行い,確実な皮弁挙上と死腔を充塡する皮弁の縫着,嚥下機能を維持する皮弁形態の形成を行います。遊離皮弁再建に伴う血管吻合を行った場合は,動脈の拍動や静脈の灌流を閉創までの間確認し,少しでも血栓を疑い吻合に問題があるのではないかと思った際には,ためらわず顕微鏡をもう一度入れ,再吻合します。
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