【質問者】
吉村浩太郎 自治医科大学形成外科教授
【2学会が合併し日本フットケア・足病医学会が設立された】
糖尿病性足病変や重症下肢虚血により,世界で20秒に1本の下肢が切断されると推計されています。下肢を切断から救う医療を下肢救済(Limb salvage)と呼び,その基礎となるのがフットケアです。切断のリスクを有する患者は糖尿病や末梢動脈疾患をはじめとした様々な問題を抱えており,その対処にあたっては全身の管理,血行再建,血管内治療,創傷ケア,潰瘍治療,感染症コントロールなどが包括的に要求されます。
チーム医療によるフットケアの正しい知識の啓発・普及をめざして,2003年に日本フットケア学会が設立されました。この学会は一線病院の実地医家・看護師が中心となり予防を重視する傾向にありました。その後,筆者を含め形成外科医,血管外科医など治療を専門とする職種や大学病院スタッフも加わって包括性が向上していきました。
一方,2012年にわが国で初めて世界創傷治癒学会(World Union of Wound Healing Societies)の開催が決定したとき,主に形成外科領域で受け皿となるhosting societyを決める必要が生じました。日本フットケア学会をその1つにあてる活動がされましたが,外形基準の整備などの折り合いがつかず,別途2009年に日本下肢救済・足病学会が設立されました。こちらは大学病院などの医師が中心となり,どちらかと言えば治療を重視していました。
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