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小耳症・先天性外耳道閉鎖症[私の治療]

No.5217 (2024年04月20日発行) P.48

小森 学 (聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教室主任教授)

登録日: 2024-04-21

最終更新日: 2024-04-16

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  • 発生学的に耳介と外耳道異常は,第1・第2鰓弓の形成異常が原因であるため,両者が合併することが多い。小耳症の分類はMarx分類が古くから用いられ,Ⅰ度(耳介の構成部分がかなり認識できるもの),Ⅱ度(耳介の構成部分が一部認識できるもの),Ⅲ度(単なる皮膚の隆起として遺残するもの)に分類されるが,わが国では永田分類(耳垂型,耳甲介型,小耳甲介型)が広く用いられている。外耳・中耳奇形は大奇形と小奇形に分類され,大奇形は外耳道・鼓室の異常を認め,耳介の奇形を伴うことが多い。小奇形は外耳道と鼓膜は正常で中耳の奇形に限定され,耳介の奇形は伴わないことが多い。

    ▶診断のポイント

    小耳症も先天性外耳道閉鎖症も出生時に診断がなされることがほとんどである。耳介形態異常が軽度の場合には外耳道奇形の診断がつかない場合もあるが,新生児聴覚スクリーニング検査が広く普及しているため,比較的早期に耳鼻咽喉科を受診するケースが増加した。外耳道閉鎖症は40〜60dB前後の伝音難聴を生じることが多く,stiffness curve(高音域に比較して低音域の気骨導差が大きくなる)を描くことが多い。骨性に閉鎖する場合と膜性に閉鎖する場合とがあるが,どちらも中耳奇形を生じることが多い。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    小耳症の手術に関しては形成外科医によって行われる。肋軟骨を使用した自家移植術が主流であるため,十分な肋軟骨が採取できる10歳前後に行うことが多く,通常2〜3回にわけた段階手術を行う。

    先天性外耳道閉鎖症に関しては言語発達面に注意する必要がある。適切な聴覚検査で評価し,幼小児期は言語発達遅滞が生じないように補装具を装用する。言語獲得後には人工聴覚器手術,外耳道造設術の検討などを行う必要があるが,外耳道造設術は十分な聴力成績が得られないことが多い。なお,完全には閉鎖していない先天性外耳道狭窄症では外耳道真珠腫を高率に合併するため,定期的な清掃とCTでの評価を行う必要がある。

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