厚生労働省は3月16日、2021年度介護報酬改定に関する省令、告示および留意事項通知などを公表した。介護医療院で新設される「長期療養生活移行加算」では、生活施設として取組について入所者や家族に説明した内容などの記録を残すよう求めた。
「長期療養生活移行加算」は、介護医療院が医療・介護療養病床に1年以上入院していた患者を受け入れた際に、入所日から90日を限度に1日60単位を算定する。入所の際には、療養病床との違いを含む生活施設としての取組について、入所者や家族に説明することが求められるが、留意事項通知は説明を行なった日時、説明内容などの記録を残すよう指示した。自院の医療・介護療養病床から直接入所した場合も算定でき、療養病床を有する医療機関が介護医療院に転換した場合は、転換日を算定の起算日とする。
介護療養型医療施設では、介護医療院などへの転換促進策として、移行計画を半年ごとに都道府県知事に提出しない場合は、次の提出期限までの半年間、基本報酬を1日10%減算する「移行計画未提出減算」が新設される。その運用については、例えば最初の届出期限である21年9月末までに届出がない場合は21年10月1日から22年3月31日までの間が減算対象になるが、その後21年11月1日に届出を行えば、22年4月1日から同年9月30日までは減算の対象にならない、と説明した。また、計画の内容は、「あくまでも届出時点の意向を示すものであり、届け出た移行先以外への移行等を否定するものではない」とした。
介護職員などの処遇改善では、「介護職員処遇改善加算」(以下、処遇改善加算)および「介護職員等特定処遇改善加算」(以下、特定加算)に共通して求められる職場環境等要件を再編。従来の3区分を▶入職促進に向けた取組、▶資質の向上やキャリアアップに向けた支援、▶両立支援・多様な働き方の推進、▶腰痛を含む心身の健康管理、▶生産性の向上のための業務改善の取組、▶やりがい・働きがいの醸成―の6区分とし、計画期間中に実施する項目を届け出る仕組みに改める。
複数の取り組みを行うことが要件の特定加算では、6区分それぞれで1つ以上の取組を行うことを原則とするが、21年度に関しては6区分から3区分を選択し、それぞれで1つ以上の取組を行えばよいこととする。処遇改善加算と特定加算で異なる取組を行う必要はない。