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胸腰椎高位での再建術(固定術)の前方法と後方法について

No.5058 (2021年04月03日発行) P.46

白土 修 (福島県立医科大学会津医療センター附属病院 副病院長/整形外科・脊椎外科学講座教授)

織田 格 (北海道整形外科記念病院副院長)

登録日: 2021-04-01

最終更新日: 2021-03-30

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  • 胸腰椎高位での再建術(固定術)は,前方法と後方法に大別されます。主病態が前方にある場合,私は原則として前方法を採用し,前方インストゥルメントによる再建術を行います。しかし最近では,前方法は開胸・開腹を必要とし,侵襲が大きいという「誤った」考えから嫌われる傾向があります。先生はどう思われますか。あるいは,病態に応じた使いわけをされているのでしょうか。先生の経験,お考えをお聞かせ下さい。
    北海道整形外科記念病院・織田 格先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    白土 修 福島県立医科大学会津医療センター附属病院 副病院長/整形外科・脊椎外科学講座教授


    【回答】

    【主病変の位置,術式の長所と短所,骨質や併存症を考慮して選択している】

    胸腰椎における前方法と後方法の選択については,今も昔も熱い議論になります。白土先生が言われるように,前方に主病巣があれば前方法が合理的であることに異論はありません。一方,前方法・後方法にはそれぞれ長所と短所があると思います。

    前方法の長所は,前方の病変に直接対応できる点です。短所は多椎間病変への対応が容易でないことや,粗鬆骨では内固定金属のゆるみを生じやすいことが挙げられます。また,高齢者が多い骨粗鬆症例では,無気肺などの周術期全身合併症の発生頻度が20%程度であった,と北海道大学の伊東らが報告しています1)。呼吸器に持病を持つ高齢者には選択しにくいと思います。

    後方法の長所は,多椎間病変への対応が容易であることです。脊椎の後方部分は椎体に比べ骨粗鬆症の影響を受けにくく,骨粗鬆症例では後方固定が力学的に有利です。また,周術期全身合併症が少なく,当院の骨粗鬆症例での頻度は2%でした。後方法の短所は前方支持性を再建できないことでしたが,椎体形成術や短縮骨切り術により後方からもある程度の前方支持性を再建することができるようになりました。

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