厚生労働省は3月26日と29日に、「2021年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3、4)」を都道府県などに送付した。今回は、LIFEへの情報提出や、これを要件とする「科学的介護推進体制加算」や「自立支援促進加算」などの算定について解説した。
LIFEに提出する情報には、利用者の氏名や介護保険被保険者番号などの個人情報が含まれる。加算の算定については利用者の同意が必要だが、Q&Aは、システムに送られる個人情報は一部が匿名化されるため、情報提出自体についての同意取得は不要と整理した。加算算定に際しては、「やむを得ない場合」を除き、要件として定められた情報をすべて提出する必要がある。この「やむを得ない場合」についてQ&Aは、たとえば、通所サービスの利用者が月初に緊急入院し、月の中旬に予定していた評価を行えなかった場合や、データを入力したにもかかわらずシステムトラブルで提出できなかった場合などが該当すると説明した。
また、全身状態の急速な悪化で体重測定ができないなどの理由で、必須項目の情報を一部提供できない入所者(利用者を含む)がいる場合であっても、情報提出が困難だった理由を介護記録などに明記することで、入所者全員での加算の算定が可能。加算の算定に同意しない入所者がいる場合も、当該入所者を含む全員分の情報を提出すれば、同意を得られた入所者では加算を算定できることも併せて示した。
看取り期における対応を充実させる観点から、運用の弾力化が図られた、訪問介護の2時間ルールにも言及。2時間未満の間隔で訪問介護が提供された場合、これまでは所要時間を合算して報酬を算定していたが、今後は、医師が一般的に認められている医学的知見に基づいて回復の見込みがないと診断した利用者に限り、それぞれの提供時間に応じた単位数の算定が可能になる。
ただ、Q&Aは、看取り期の頻回かつ柔軟な訪問介護を提供した場合の手間の評価が今回の弾力化の目的であることから、一律な運用を求めるものではないと説明。所要時間を合算する場合と、合算しない場合の所定単位数を比べて、前者のほうが高い場合には所要時間を合算しても差し支えないことを示した。
一方、通所リハビリテーションや通所介護における感染症や災害発生時の3%加算の特例では、Q&A(Vol.1)で示した取扱いを一部修正した。3月19日付のQ&Aでは、新型コロナウイルス感染症の影響で3%加算の適用を受けた事業所については、適用期限の延長を行ったにもかかわらず、その終了間際になっても利用者数が回復しない場合は、期限終了後に加算の再届出をするなど、柔軟な運用を認める(1年度内で最大12カ月間の3%加算算定が可能)などとしていたが、当該設問(問6)を削除。「基本的に一度3%加算を算定した際とは別の感染症や災害を事由とする場合にのみ、再度3%加算を算定することが可能である」と修正した。