凍傷は寒冷状態による局所の組織障害であり,単独で致死的となることはないが,組織の救出のためには復温や血栓溶解療法などによる迅速な治療が不可欠となる。
寒冷環境に置かれたことが判明すれば凍傷の診断自体は比較的容易であるが,そこに至るまでの経過に関して聴取が必要である(意識障害の有無, その他の外傷の有無など)。同時に凍傷のリスクファクターとなりうる脱水,疲労,低栄養などの状態やアルコール等の薬物摂取状況,糖尿病,末梢動脈疾患などの既往を中心に問診を行う。
まず,バイタルサインの安定を確認するが,特に低体温症を合併している可能性を常に考慮する。低体温症に対しては全身の迅速な復温が必要となるため,体温測定は当初より深部体温測定を行いたい。
全身を診察し,耳,鼻,頰,顎,手指,足趾など凍傷となりやすい個所の状態を詳細に診察するとともに,その他の外傷の有無を確認する。
凍傷の重症度分類は以前よりその深達度に応じた分類が存在するが,実践的ではない。近年では,復温後の四肢の状態からgrade 1(チアノーゼなし),grade 2(手指,足趾遠位部にチアノーゼ),grade 3(手指,足趾近位部にチアノーゼ),grade 4(手根骨,足根骨を超えてチアノーゼ)に分類して入院加療の必要性,切断のリスクなどの予後予測を検討した分類が提唱されている1)。
残り1,116文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する