「これまで紙でやりとりしていた院内業務や医療機関間の情報連携を,ITを活用することで,効率的に行いたい」。医院やクリニックがある程度の規模になると,そう考える先生は多いでしょう。
今回は,医院のIT化について知っておくべきことを中心にお伝えします。
厚生労働省の「医療分野の情報化の推進について」に掲載された「医療分野の情報化の現状」1)によれば,医療施設調査に基づいた電子カルテシステム等の普及状況の推移は次のようになっています(表1)。
2017年度において,電子カルテシステムについては,病床規模が400床以上の病院では85%を超えますが,一般病院全体や一般診療所での導入率は50%を下回ります。オーダリングシステムについても同様に,病床規模が400床以上の病院では90%を超える一方,一般病院全体での導入率は55%程度となります。
「電子カルテ」とは,従来医師が手で記入していた紙のカルテ(診療記録)を,電子的なシステムに置き換え,データ情報として一括して編集・管理する情報システムを指します。
医療機関では電子カルテ化が一般的になってきており,新規開業の際に電子カルテを導入するケースが増えています。
また「オーダリングシステム」とは,検体検査,生理検査,放射線,処方,投薬などの各種オーダー情報を情報端末から入力して各部門と情報共有を行う情報システムです。電子カルテシステムと情報を連動させ,病院業務の効率化やサービス提供までの時間短縮を実現させるものになります。
一般的に,電子カルテシステムの中に,オーダリングシステム(機能)も含まれることが多く,2つを合わせて単に「電子カルテシステム」と呼ぶこともあります。