東京医科歯科大学医学部附属病院では精神科を中心に「COVID- 19診療に従事する医療者のストレスを検出する評価尺度(TMDP)」(表)を開発し、職員のメンタルヘルス対策を進めている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大が長引く中、疲弊する医療者のストレスを軽減し離職を防ぐにはどうしたらよいのか。同院精神科教授の高橋英彦氏に聞いた。
パンデミックにおいて医療者は、自分が感染するという恐怖に加え、家族へうつすリスク、社会的な偏見、経済的な負担など通常とは異なるストレスを抱えています。医療者の燃え尽きや離職を防ぐためにも、パンデミック特有のストレスを評価するツールを新たに開発する必要があると考えました。
TMDPはパンデミックに特化した9つの質問に0点(一度もない)~4点(とてもよくある)まで5段階で答える形式です。「自身や周囲への感染への懸念」と「人間関係の悪化、経済的な問題という社会的なストレス」の2つのサブ尺度を簡便に検出できます。
緊急事態宣言下の東京で感染者数の上昇が著しかった昨年4月に当院の医療スタッフ240人に実施した結果では、TMDPは、一般的に広く利用されている「うつ状態尺度(PHQ-9)」、「不安尺度(GAD-7)」、「ストレス尺度(PSS-10)」と有意に相関することが分かっています。