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多職種連携の必須知識!〈訪問看護〉─医師と訪問看護の連携で回避可能な入院を減らしたい[プライマリ・ケアの理論と実践(111)]

No.5076 (2021年08月07日発行) P.12

吉江 悟 (一般社団法人Neighborhood Care代表理事)

登録日: 2021-08-05

最終更新日: 2021-08-04

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SUMMARY
訪問看護との連携の要点を1つに絞るなら,医師・看護師双方にとって負担が小さく心理的な敷居の低い連絡手段が確保されていることにあると思われる。両者の連絡が円滑ならば,患者がACSCs(ambulatory care sensitive conditions)にあっても入院を回避できる可能性は高まるだろう。

KEYWORD
Ambulatory Care Sensitive Conditions(ACSCs)
直訳するならば「救急ケアのお世話になりやすい(不安定な)状態」,逆の言い方をすれば「適切に管理すれば救急搬送や入院を防げるかもしれない状態」。肺炎,尿路感染症など急性のACSCsにおいてはぜひ特別訪問看護指示書を活用頂きたい。

吉江 悟(一般社団法人Neighborhood Care代表理事)

PROFILE
訪問看護ステーションビュートゾルフ柏看護師・保健師,柏市地域支えあい推進員(生活支援コーディネーター),東京大学高齢社会総合研究機構/未来ビジョン研究センター客員研究員,筑波大学ヘルスサービス開発研究センター研究員,慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室訪問研究員,柏市レセプトデータ分析アドバイザー,柏市社会福祉協議会理事ほか。

POLICY・座右の銘
色即是空,空即是色


1 訪問看護(ステーション)とは

訪問看護ステーションとは,その名の通り,看護師が患者宅に訪問して看護を提供する事業所である。患者宅に訪問する職種は,主には看護職(看護師,保健師,准看護師)だが,リハビリテーション専門職(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士)が在籍するステーションも多く,複数名によるケアが必要な場面では看護補助者が同行することもある。

訪問看護の対象者は,高齢化の進んだ現在の日本においては要介護高齢者の占める割合が高いが,がん末期,難病,精神障害者,小児(医療的ケア児など)といった,自宅で療養する多様な年代・状態像の方が含まれる。

訪問看護ステーションは,2020年時点の概数で全国約1万1000箇所,従事者は1事業所あたり約5人(常勤換算)である。人口1万人の地域に5人体制の訪問看護ステーションが1つあればおおむね平均的と言える。ただし現実には,都市部に集中して所在している。24時間365日の臨時対応体制を敷いているかどうかも大きなポイントで,都市部では多くが24時間体制をとっていると思われるが,地方部だと人員・距離・住民意識などの要素によって,訪問看護ではなく往診や救急医療で24時間の臨時対応体制を担保している地域も少なくないだろう。

訪問看護が担うケアの内容は,身体面のケア(点滴,経管栄養,人工呼吸器管理,皮膚創傷ケア,薬剤管理,排泄ケア,口腔ケア,リハビリテーション等々)はもちろん,精神面のケアを担うこともあり,精神科訪問看護という仕組みを使って精神科医からの指示による訪問看護を提供することもある。加えて,ケア(ケース)マネジメントも訪問看護の機能の1つとして強調しておきたい。本邦では介護支援専門員という特化した職種が存在するが,特に医療的ケアのニーズが高い方においては,看護職と介護支援専門員等が連携したケアマネジメントの重要性を体感する。

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