【質問者】
永金義成 京都第二赤十字病院脳神経内科部長
【抗凝固療法を考慮するが,出血リスクやがん以外の原因も調べる必要がある】
がん,脳卒中は頻度の高い国民病であり,両疾患の合併症例(がん関連脳卒中)に遭遇することが増えています。また,がん患者の死因の第2位は血栓症であり,その対策が必要です。
がん関連脳卒中の多くは脳梗塞です。原因は,がんが関連する凝固異常(いわゆるトルーソー症候群)以外にも,腫瘍が血管へ浸潤する,あるいは血管を圧迫することによる直接的影響,化学療法・放射線治療の影響,侵襲的処置時の抗血栓薬の中断,感染,血管炎,従来の機序(アテローム血栓性脳梗塞,心原性脳塞栓症,ラクナ梗塞)があります。
急性期脳梗塞患者のがん合併頻度は約4~16%と報告されています1)2)。一方,原因がわかっていない脳梗塞(潜因性脳梗塞)の6.2%に,脳梗塞を契機に未診断のがんが見つかると報告されています3)。潜因性脳梗塞,複数の血管領域の病巣,貧血,Dダイマー上昇,フィブリノゲン上昇3)がある場合は,まだがんと診断されていなくても積極的ながんスクリーニングが必要です。
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