むずむず脚症候群(RLS)は,睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)によると,睡眠関連運動障害のカテゴリーに含まれる睡眠関連疾患のひとつで,感覚運動障害でもある
RLSの推定有病率は,欧州と北米地域では約5~10%,アジアや南米地域では約1~2%と報告されている
RLSの病態生理には,三大要因として遺伝的要因,ドパミン神経系をはじめとする神経伝達機構の異常,鉄の欠乏や利用能・輸送の異常が関与する
RLSにおけるドパミン神経系の障害は,神経変性過程を示唆する器質的異常ではなく機能的異常と考えられている。また,RLS自体がパーキンソン病など神経変性疾患の先行症状であることや,これらの発症リスクを増加させる要因であるという明確なエビデンスは現在のところみられていない
RLSは,特発性と二次性に分類される。二次性の中でも,生理的には妊娠後期にみられ,原因となる併存疾患には,鉄欠乏性貧血,末期腎不全(透析療法の導入例),糖尿病,リウマチ性疾患,パーキンソン病および脊髄・末梢神経障害,慢性閉塞性肺疾患(COPD)などがある
RLSを増悪させる原因として,嗜好品(カフェイン,ニコチン,アルコール)と薬物があり,注意が必要である。原因薬物には抗うつ薬(SSRI,三環系抗うつ薬),抗ヒスタミン薬,抗精神病薬,リチウムなどがある
むずむず脚症候群(restless legs syndrome:RLS)は,睡眠障害国際分類第3版(International Classification of Sleep Disorders:ICSD-3)1)によると,睡眠関連運動障害のカテゴリーに含まれる睡眠関連疾患のひとつであり,神経内科領域では運動障害疾患(movement disorders)のひとつである。レストレスレッグス症候群,下肢静止不能症候群(日本神経学会用語集),Willis-Ekbom病とも呼ばれ,高率に周期性四肢運動(periodic limb movement:PLM)を併存する。
本症は,下肢の感覚異常(dysesthesia)に伴う運動障害(感覚運動障害:sensorimotor disorder)である。静止時または夕方から夜間にかけて脚の不快感が生じ,これに伴い下肢を動かしたくなる衝動感にかられ,その運動によって不眠をきたす。不安やうつ病の発症,生活の質の低下をもたらし,夜間高血圧や心血管イベントリスクの増加との関連も指摘されている2)。
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