restless legs syndrome(RLS)は日本語でむずむず脚症候群と訳されているため,「脚がむずむずします」と言われれば疾患名が浮かぶが,実際の訴えは多彩であり,中核症状は「動かしたい衝動」(urge to move)である
通常は,脚の異常な感覚を伴った「動かしたい衝動」と,これによる不眠を主訴として受診することが多い
問診が診断過程の大部分を占める疾患であることを意識し,誘導することにならないよう注意しながら,聞き出すポイントをしっかりと押さえる必要がある
高齢者においては,合併例も多いため,他疾患との鑑別に留意すべきである
薬物治療は長期にわたる例も多いため,augmentationの発症に注意をしつつ,ほかの悪化因子や症状,副作用にあわせて薬剤を調整する必要がある
restless legs syndrome(RLS)は日本語ではむずむず脚症候群と訳されているが,症状の中核は「動かしたい衝動」(urge to move),「動かさずにはいられない」というものである。表1 1)に,2012年に改訂されたInternational Restless Legs Syndrome Study Group(IRLSSG)の診断基準2)をもとにした,睡眠障害国際分類第3版(International Classification of Sleep Disorders:ICSD-3)におけるRLSの診断基準を示す。脚の異常な感覚については,じっとしていられない,膝から下がかーっと熱くなる,ふくらはぎの中が気持ち悪い感じがする,じんじんする,など多彩な表現があり注意を要する。稀に痛みやしびれとして表現されることもあり,他疾患との鑑別が困難なことがある。
典型的な訴えとしては,夜眠ろうと床に入ると脚が気持ち悪くなり動かさずにはいられず,膝を振ったり脚どうしをこすりあわせたりする,自らもしくはベッドパートナーにマッサージしてもらうのが習慣になっている,じっとしていられず床から抜け出して歩き回りなかなか眠れない,などがある。就床前,テレビを坐位で見ているときから既に症状があり,片付けをするなどしてわざと動くようにしているということもある。重症例では午前2~3時まで眠れず,朝方にやっとうとうとできるが,慢性の睡眠不足になっている症例もある。このような例では,昼間には症状が軽い,もしくは出ないため,昼寝をしている例も多い。
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