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片頭痛を診断する ー 診断基準,問診,鑑別[特集:片頭痛を知り,診断し,治す 1]

No.4819 (2016年09月03日発行) P.28

竹島多賀夫 ((富永病院副院長/同神経内科部長・頭痛センター長)

登録日: 2016-09-16

最終更新日: 2016-10-19

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  • 2013年に「国際頭痛分類」が第3版beta版に改訂され,日本語版も公開されている

    片頭痛の概念が進展しており,前兆のない片頭痛,両側性の片頭痛,非拍動性の片頭痛もあるので診断に注意を要する

    片頭痛の診断のポイントは生活への支障,動作による頭痛の悪化,悪心,嘔吐,光過敏,音過敏である

    片頭痛の典型的前兆には,閃輝暗点,感覚障害,失語性言語障害がある

    1. 片頭痛(migraine)とは

    片頭痛は「閃輝暗点があり,片側性の拍動性頭痛をときどき起こす疾患」というのが,以前の教科書的な記述であった。これらの特徴が片頭痛の重要なポイントであることは今も変わらないが,このイメージにとらわれすぎると,片頭痛が適正に診断できない場合がある。頭痛病名に「片」の文字がついているにもかかわらず,両側が痛む片頭痛患者が約50%いる1)。migraineの語源はhemicraniaで“hemi”=「片」であるのだが,“migraine”には既に「片側」のニュアンスはなくなっているようである。片頭痛の概念はこれまでの研究成果とともに拡大してきている。閃輝暗点などの前兆がない片頭痛,両側性の片頭痛もあり,さらに非拍動性の片頭痛もある。
    それでは,片頭痛とはいかなる疾患かというと,端的には,「生活に支障をきたす頭痛に,悪心や嘔吐などの自律神経症状と,脳の感作現象の結果としての音過敏,光過敏などを伴う発作が反復性に出現する疾患」である。片頭痛の病態は未解明の点も多いが,閃輝暗点は後頭葉大脳皮質を中心に発生する皮質拡延性抑制がその本態であり2),片頭痛の疼痛は脳硬膜の三叉神経と硬膜血管に発現する神経原性炎症が中心的病態である3)と考えられている4)5)

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