【質問者】
多屋馨子 国立感染症研究所感染症疫学センター 予防接種統括研究官
【接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度についてさらなる検討が必要である】
現在,国内では鳥居株(武田薬品工業株式会社)と星野株(第一三共株式会社)の2種類の単味おたふくかぜワクチンが薬事承認されていますが,定期接種には位置づけられていません。国産の統一株MMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹)ワクチンは1988年に薬事承認され,1989年4月から麻疹の定期接種対象者のうち希望者に対して接種が開始されましたが,副反応として無菌性髄膜炎が問題となり,1993年に接種が見合わせられました。以降,国内で薬事承認されたMMRワクチンはありません。
おたふくかぜワクチンの定期接種化については,その後も議論が継続され,2012年5月の「第22回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会における予防接種制度の見直しについて(第二次提言)」1)の中で,おたふくかぜワクチンは,広く接種を促進していくことが望ましいワクチンのひとつとされました。また,2013年7月の第3回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会2)では,安全性の面から「仮に広く接種をするに当たっては,より高い安全性が期待出来るワクチンの承認が前提であり,新たなMMRワクチンの開発が望まれる」とされました。
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