中央社会保険医療協議会総会は12月15日、2022年度診療報酬改定に合わせて実施する不妊治療への保険適用について、厚生労働省が示した案を大筋で了承した。生殖補助医療(体外受精および顕微授精)は、関係学会のガイドライン(GL)で推奨度が高い医療技術と、薬事承認済みの医薬品等に保険を適用。対象患者は不妊症と診断された事実婚を含む男女、かつ治療開始時点の女性の年齢が43歳未満の場合とする。
今回了承された案によると、生殖補助医療における保険適用の範囲は、日本生殖医学会の「生殖医療GL」で推奨度AまたはBに該当する医療技術(男性不妊治療を含む)と、薬事承認を取得している医薬品を原則とする。そのため、GLで推奨度A、Bとされている未承認の医薬品等で、学会から薬事承認の要望があるものに関しては、4月からの保険適用に向け、薬事承認の審査で有効性・安全性を確認する作業が急ピッチで進められている。
これに対して、GLでの推奨度がCあるいは、GLに記載のない医療技術、医薬品等は保険適用外となるが、医療機関から申請があったものは、先進医療で実施する方向で審議を進める。
対象患者は、「不妊症と診断された特定の男女」(事実婚含む)とし、治療開始時点の女性の年齢が43歳未満であることを要件とする。保険診療として実施できる治療回数は、女性の治療開始時の年齢に応じて、▶40歳未満は子ども1人につき6回まで、▶40歳以上43歳未満は子ども1人につき3回まで―に制限する。実施医療機関の施設基準は、今後、都道府県などが実施している特定治療支援事業での取扱いや、生殖医療GLを踏まえて検討する。
また、一般不妊治療(タイミング法および人工授精)に用いられる医療技術と薬事承認取得済みの医薬品等にも保険を適用。一方で、第三者の卵子や精子を用いた生殖補助医療等への保険適用は、国会においてその取扱いに関する検討が進められていることを考慮し、今回は見送ることにした。
なお、22年3月までに治療を開始した患者については、特定治療支援事業から保険適用への移行によって治療に支障が出ることがないよう、別途、経過措置が設けられる。具体的には、年度をまたぐ1回分の治療については、従来通り助成金の対象とする方針で、現在、国会で審議中の21年度補正予算案に必要経費が計上されている。