社会保障審議会介護給付費分科会は1月12日、介護職員の処遇改善目的で2022年度に実施予定の臨時の介護報酬改定に関する議論を開始した。新たな加算が設けられる見込みだが、その要件・仕組み等について厚生労働省は、22年9月までの賃上げ分を対象とした21年度補正予算事業のものを基本的に引き継ぐ案を提示した。
政府は昨年11月に閣議決定した経済対策に、介護職員の収入を3%程度(月額9000円)引き上げるための処遇改善の実施を盛り込んだ。その財政的手当に関しては、22年2~9月の賃上げ分は21年度補正予算で対応、同年10月以降の賃上げ分は臨時の介護報酬改定を行い、補正予算事業と同様に対応するとしていた。
分科会での議論開始にあたって厚労省は、▶補正予算事業・臨時の報酬改定による措置とも、同じ政策目的の下で実施される、▶介護報酬に組み入れられるのは年度途中であり、仮に補正予算事業と要件等を変えた場合には追加的な事務負担が発生する―といった点に十分留意する必要性を指摘。こうした事情を踏まえ、22年10月以降の介護報酬での対応については、同年9月までの補正予算事業の要件・仕組み等を基本的に引き継ぐことを提案した。
■補正予算事業の要件・仕組みを引き継ぐ加算を新設へ
それによると、今回の処遇改善は加算の新設で対応。新加算の要件では、①「介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)」のいずれかを取得、②補助額の2/3は介護職員等のベースアップ等の引き上げに使用する―ことを求める。対象職種は介護職員とするが、事業所の判断で他の職員の処遇改善に新加算で得た収入を充当することも容認。報酬は対象事業所からの申請に基づいて支払う仕組みとする考えで、8月から申請の受付を開始する。対象事業所は、申請時には「処遇改善計画書」等を、賃金改善期間後には「処遇改善実績報告書」をそれぞれ提出しなければならない。
加算額は、各事業所の介護報酬に所定の加算率を乗じて算出する。主な介護サービスにおける加算率は、訪問介護2.4%、通所リハビリテーション1.0%、介護老人福祉施設1.6%、介護老人保健施設0.8%、介護療養型医療施設・介護医療院0.5%などに設定。分科会は、引き続き、詳しい制度設計についての議論を進める。