【質問者】
具 芳明 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 統合臨床感染症学分野教授
【COVID-19に対する様々な感染対策が他の感染症の疫学に影響している】
2019年12月,中華人民共和国湖北省武漢市において確認され,2020年1月30日には,世界保健機関(WHO)により「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(Public Health Emergency of International Concern:PHEIC)」が宣言され,3月11日にはパンデミック(世界的な大流行)の状態にあると表明されたCOVID-191)に対する国内の対応は,これまでにパンデミックを起こした疾患とは大きく異なりました。
流行当初新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する有効な治療薬やワクチンが存在しなかったことから,水際対策,学校閉鎖,個人レベルでの予防対策などの医薬品を使用しない公衆衛生上の対策(non-pharmaceutical measures)が強化されました。これに伴い人の動き,特に海外からの人の流入は極端に落ち込み,飛沫感染対策の核となったマスクの着用や手指消毒の徹底,いわゆる「三密回避」などの行動変容はCOVID-19以外の感染症に大きな影響を及ぼしています。
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