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かぜ症候群(小児)[私の治療]

No.5103 (2022年02月12日発行) P.42

佐藤 研 (はまみこどもくりにっく院長)

登録日: 2022-02-10

最終更新日: 2022-02-08

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  • かぜ症候群とは,「ほぼ自然治癒が見込める軽症の気道感染症」と定義されよう。数は少ないが一定の割合で悪化の可能性があり,「軽症」とは現時点では入院を必要としない気道感染症ということである。
    かぜはプライマリ・ケアの場では一番患者数が多く,その対処方法は子育てに対する保護者への大切なメッセージとなりうる重要な「場」である。

    ▶診断のポイント

    診断は容易だが,重大な合併症を見逃さないこと。感染は時に下気道に及び,また中耳炎,鼻副鼻腔炎をしっかり診断することが大切である。

    かぜ診療は,「重大な病気,合併症を見落とさない」「不必要な薬による副作用・薬害を出さない」「患者や保護者を安心させる」に尽きる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    大前提として,かぜは上記の通り自然治癒疾患である。鼻汁・鼻閉,咳嗽,発熱は,それ自体は大切な生理作用である。鼻汁・鼻閉でウイルスや異物の体内への侵入を防ぐ,咳嗽で下気道内への侵入を防ぐ,発熱で免疫を活性化しウイルス増殖を防ぐ,という作用が知られている。そのため,これらを無理やり止めることは,かぜ自体を悪化させることも多い。抗菌薬はかぜに効果がないばかりか,様々な重要な作用を有する腸内細菌叢を乱し症状は遷延する。親の不安の解消のためだけに薬剤を処方したり,医師の自己満足のために薬剤を処方したりしていないだろうか。保護者が薬さえ飲ませればよしとし,最も大切な親の愛情(看病,ケア)の放棄につながらないようにしなければならない。かぜは薬で治すものではなく,十分な休息と水分・栄養補給があれば自然治癒力で改善する。そのために,家庭でのケアと経過観察,保護者自身の心のケアが重要,との説明をする。

    以上の説明が必ず実施すべき0手目と言うべきだろう。予想される経過を含めた「十分な説明」が大切な処方である。

    生理作用を超えて,日常生活のQOLを下げる状態になって初めて薬を使用するということを考える。また,その多くが対症療法であり,かぜそのものを治すものではないことを保護者ばかりでなく処方医も心するべきである。

    その中でも筆者は積極的に漢方薬を使用している。いわゆる鎮咳去痰薬は効果不明なものが多いが,漢方薬は効果を実感でき,時に著効する。漢方薬(ツムラ製剤)は1日に0.2〜0.3g/kgを毎食間,空腹時に内服する。多少1回量が多くても問題ない。乳児の場合は1日量をミルクごとにわけて与えてもよい(指先につけて頰粘膜に塗布)。飲ませ方のコツは,最高の空腹時,何を混ぜてもよい,である。この原則で飲めることが多い。

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