社会保障審議会は2月28日、後藤茂之厚生労働大臣から諮問のあった2022年10月の介護報酬の臨時改定について、諮問案通り即日答申した。新たに「介護職員等ベースアップ等支援加算」を導入し、介護職員1人当たり月額平均9000円程度の賃上げを実施する。
介護職員の処遇改善については、22年2月から9月の賃上げ分が対象の21年度補正予算による措置がすでに開始されている。今回の臨時改定は、補正予算事業終了後の22年10月以降の賃上げ対応として実施。年度途中で追加的な事務負担が生じることのないよう、算定要件や加算の仕組みは、補正予算事業をそのまま引き継ぐことにした。
改定の具体的内容をみると、新設する「介護職員等ベースアップ等支援加算」の算定要件は、▶「処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)」のいずれかを取得する、▶賃上げ効果が継続されるよう、加算額の2/3は介護職員等のベースアップ等(基本給または決まって毎月支払われる手当の引き上げ)に使用する―ことと定める。処遇改善の対象職種は介護職員が基本だが、事業所の判断で他の職員の処遇改善に当該加算で得た収入を充当できる柔軟な運用を認める。
介護サービス種類ごとの加算率は、▶訪問介護2.4%、▶通所介護1.1%、▶通所リハビリテーション1.0%、▶介護老人福祉施設1.6%、▶介護老人保健施設0.8%、▶介護医療院0.5%―などに設定。算定単位数は、基本報酬に加算・減算を加えた単位数(「処遇改善加算」および「介護職員等特定処遇改善加算」は除く)に、所定の加算率を乗じて求める。
今回の見直しで、介護職員などの処遇改善を目的とした加算は、土台となる「処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)」に、今回新設する「介護職員等ベースアップ等支援加算」、主に経験・技能のある介護職員の処遇改善を目的とした「介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)、(Ⅱ)」を事業所の状況などに応じて上乗せ算定する3階建ての構造になる。