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類天疱瘡[私の治療]

No.5110 (2022年04月02日発行) P.42

泉 健太郎 (北海道大学大学院医学研究院皮膚科学教室)

登録日: 2022-04-02

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  • 類天疱瘡は,種々の表皮基底膜部抗原に対する自己抗体の関与により表皮下水疱を呈する疾患群である。ヘミデスモソーム構成蛋白であるBP180(17型コラーゲン)やBP230に対する自己抗体により発症する,わが国で最多の自己免疫性水疱症である水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)をはじめとし,Ⅶ型コラーゲンに対する自己抗体により発症する後天性表皮水疱症(epidermolysis bullosa acquisita:EBA)や臨床的に粘膜病変が主病変となる粘膜類天疱瘡(mucous membrane pemphigoid:MMP)などが含まれる。本稿では代表的な表皮下水疱症としてBPについて主に解説する。

    ▶診断のポイント

    臨床的なかゆみを伴う浮腫性紅斑や緊満性水疱,病理組織学的に好酸球浸潤を伴う表皮下水疱,免疫学的に蛍光抗体直接法にて表皮基底膜部にIgG/補体の沈着,蛍光抗体間接法や各種ELISA/CLEIA法による抗表皮基底膜部抗体を検出することにより,総合的に診断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    まずbullous pemphigoid disease area index(BPDAI)に基づいて,皮疹の重症度を分類する。BPDAIではBPの皮疹を,①皮膚におけるびらん・水疱,②皮膚における膨疹・紅斑,③粘膜におけるびらん・水疱,の3項目にわけ,それぞれ評価する。皮膚領域と粘膜領域ごとに,個疹の大きさと個数に基づいて皮膚病変の重症度を点数化し,3項目それぞれ合計し,各項目の重症度を算定し,最も重症と判定されたものにより最終評価とする。

    BPの治療は治療導入期と治療維持期からなり,BPDAIで評価した重症度が軽症の場合と中等症~重症の場合で,治療導入期の治療方針が異なる。

    軽症の場合では高力価のステロイド外用を基調とし,テトラサイクリン系抗菌薬の内服およびニコチン酸アミド内服,あるいは低用量のステロイド内服(プレドニゾロン換算0.2~0.3mg/kg/日)を行う。中等症~重症の場合では,中等量~高用量のステロイド内服(プレドニゾロン換算0.5~1.0mg/kg/日)を主体とし,アザチオプリンなどの免疫抑制薬の併用,ステロイドパルス療法,免疫グロブリン大量静注療法(IVIG療法),血漿交換療法を行う。

    治療導入期では治療開始2~4週間後に治療効果判定を行い,治療効果があると判定した時点で治療維持期に移行する。治療維持期では皮疹新生の有無やELISA(CLEIA)index値による自己抗体価の推移に留意しながら,2~4週ごとにステロイドの漸減を行う。プレドニゾロン0.2mg/kg/日以下で寛解維持することを第一の目標とし,さらにプレドニゾロン0.1mg/kg/日以下での寛解維持あるいは内服中止をめざして治療を行う1)

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