【質問者】
三幡輝久 大阪医科薬科大学整形外科学教室准教授
【適切な患者選択およびピットフォールを熟知した技術の高い手術の施行が肝要】
わが国で股関節鏡視下手術の適応疾患は年間1万例くらいと推定されていますが,この手術を行うことができる整形外科医は20人足らずです。股関節鏡視下手術の最も頻度の高い適応疾患は,大腿骨寛骨臼インピンジメント(femoroacetabular impingement:FAI)に伴った股関節唇損傷です。現在,股関節鏡視下手術が世界的に広く普及していますが,わが国ではあまり普及していません。
この手術を成功させ,患者に大きな利益をもたらすためには,適切な患者選択およびピットフォールを熟知した上での技術の高い手術が肝要です。
外来で股関節痛を主訴とする患者を診察する時は,詳しい問診で病歴の聴取をします。画像検査は,単純X線で股関節正面だけでなく,modified Dunn像を必ず撮影し,cam病変を見逃さないようにします。保存療法で症状が続く場合は,MRIを3TでT2 star放射状の条件で股関節唇損傷および軟骨損傷を診断します。
残り686文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する