患者の中には,ついうっかり処方箋を薬局に出し忘れて,有効期限切れの処方箋を薬局に持参し調剤してほしいと申し出る方もいます。薬局としては処方箋発行の医師に確認をすることになりますが,はたして期限切れの処方箋に対して医師の対応は……。
①当薬局では期限切れの処方箋は一切扱っておりませんので,再度受診をお願い致します。
②調剤できるかどうか当薬局では判断しかねます。処方箋発行の医師に調剤してよいかどうか確認させて頂きますので,お待ち下さい。
処方箋の有効期限切れとなって,慌てて薬局に駆け込む患者がいます。薬局の対応としては①のように期限切れの処方箋の調剤を一刀両断に断るよりも,②のようにまず処方箋発行の医師に確認した上で対応しましょう。当日服用する薬がないという患者の申し出を伝え,医師の指示を仰ぎます。
先日,内科医の先生と話をする機会があり,「かなり以前に期限の切れた処方箋を薬局に持参し,調剤するようにしつこく患者から要求されたという電話を薬局から頂いた」とのことでした。数日過ぎの処方箋ならともかく,数カ月前の処方箋で調剤してほしいと言われても,さすがに「OK」とは言えなかったそうです。有効期限切れの処方箋については,某医療機関の医事課長からも,次のような出来事があったという話を聞きました。
ある日,60歳代の患者から1本の電話が受付に入りました。その内容は「院外処方箋の有効期限が過ぎてしまったが,延長してほしい。調剤薬局に申し出たら,処方医師の了解があれば調剤できると言われたので確認してほしい」という内容であったそうです。受付の担当者は療養担当規則に則り,有効期限を経過した場合は再度受診し再交付を受ける必要がある旨説明するも,患者は聞く耳を持たず,以前にも同様に対処してくれたこと,他の医療機関では融通してくれたこと,再度外来に通院する時間がないこと,まもなく手元の薬が切れることなどを延々と電話口でまくし立てたということでした。医事課長が同様の説明をするも甲斐なく,やむをえず医師に相談して今回に限って期限延長処理を行ったということでした。