厚生労働省は4月25日、欧米で報告が相次いでいる「小児の原因不明の急性肝炎」の疑い例が国内で1例確認されたと発表した。
世界保健機関(WHO)によると、小児の原因不明の重篤な急性肝炎は4月21日現在、英国・米国など12カ国で少なくとも169例(死亡1例)報告されている。このうち74例でアデノウイルスが検出されているが、原因ウイルス等は不明とされている。
WHOは、4月23日に作成した暫定的な症例定義で「2021年1月1日以降、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)またはアラニントランスアミナーゼ(ALT)が500 IU/Lを超える急性肝炎(A型~E型肝炎を除く)を呈する16歳以下の小児」を「可能性例(probable)」と定めているが、国内で確認された疑い例はこの可能性例に該当する入院症例として報告された。同症例は肝移植の経験はなく、アデノウイルスや新型コロナウイルスのPCR検査は陰性だった。
後藤茂之厚労相は4月26日の記者会見で、「わが国における子どもの肝炎については、専門家から、現時点で増加しているという状況にはないと聞いている。引き続き各国政府やWHO、専門家とも連携しつつ情報収集と分析を行い、発生動向を注視していく」と述べた。
WHOが作成している暫定的な症例定義(4月23日)
①確定例(confirmed):現時点ではなし
②可能性例(probable):2021年1月1日以降、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)またはアラニントランスアミナーゼ(ALT)が500 IU/Lを超える急性肝炎(A型~E型肝炎を除く)を呈する16歳以下の小児
③疫学的関連例(epi-linked):2021年1月1日以降、年齢を問わず急性肝炎(A型~E型肝炎を除く)を呈し、確定症例との濃厚接触者に該当する者
※A型~E型肝炎の血清検査結果待ちの状態で、上記定義に合致する場合は「分類待ち」として報告可能
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